こんにちは、株式会社島田の寳田です。
今回はメンズアパレルの企画販売R社様よりご依頼いただいた帽子のOEM事例です。R社様からは分厚いレザーのキャスケットとオイルドコットンのキャスケットの2製品をご依頼いただいており、 まずはレザーキャスケットをご紹介したいと思います。
使用する素材と型紙はT社様より支給いただきました。
それでは工程順にご紹介いたします。
使用する素材はかなり厚みのある馬革です。通常使用する革の分厚さは0.5~0.8mm程度が一般的ですが、今回は1.3mmと厚みがあり革自体が堅く、縫製も難しくなります。革が厚すぎると針が通りにくく、縫い目が飛びやすくなってしまいます。また、生地に柔軟性がないためシワが入りやすかったり、ズレやすかったりという懸念点があります。
――素材の下準備:漉き(すき)で縫製しやすく準備する
機械を使った漉き(すき)という作業で革の厚みを削り、革を薄くします。機械右側に見えるローラー状の金属が刃部分です。この刃が高速で回転し、上側に見えるおさえで挟むことで革が少しずつ削られていきます。革をおさえる力が強すぎると削れすぎてちぎれてしまいます。
少しの加減で素材がダメになってしまうので、力を微調整しながら慎重に作業します。今回は素材の縫製する部分のみ漉き(すき)をして、縫製しやすいように準備をしておきます。
――レンゲの縫製:厚みのある素材も丁寧に縫製
裁断後の縫製からご紹介します。キャスケットのレンゲと呼ばれる頭部分のパーツを縫い合わせているところです。パーツの縁を沿うように革の色が少し違っているのがおわかりでしょうか。ここが漉き(すき)を入れた部分です。この工程では厚い生地を縫う際に用いられる総合送りミシンを使用します。
このミシンは針が上下に加え前後にも動きます。その上、台側にも生地を送る用の金具が付いています。通常のミシンは針の上下作動と、台側で送る2点に対し、総合送りミシンは3点作動するので、分厚い生地も縫製しやすい仕様になっています。
縫い代を割りアイロンで広げています。上側からの視点で撮った写真です。上部に見えているのがアイロンです。漉き(すき)を入れてもレザーが分厚く簡単に広がらないので、次の工程を進めやすくするために何度か繰り返します。
割りアイロンで開いた縫い代を伏せテープでおさえるように処理します。
今回は内側に裏地を付けず仕上げていきます。
――ツバの作製:サイズに合わせた芯を入れ縫製
ツバ部分を作製していきます。縫い代部分に漉き(すき)を行ったレザーを使用しています。生地自体の縫製が終わるとツバのサイズに合わせた芯を入れ、口を閉じるように芯をなぞりながら縫製していきます。
今回使用する汗取り部分は帽子本体と同じレザー製で、厚さは薄い生地を使用しています。スベリの形を作った後、ブランドネームを縫い付けていきます。
完成したスベリと帽子を縫い合わせます。ツバと帽子の縫製時にも使用した台部分が筒状になっている腕ミシンを使います。帽子の縫製で必ず一度は使用します。
スベリを付け終え、サイズ元(かぶり口)の外側からカンセンを入れていきます。この作業によってスベリの浮きをおさえ、しっかりとしたサイズ感がでます。
――リボンの装飾:熟練の技術を持った職人技
スベリの後ろ側中心部にリボンの飾りを付けます。飾りつけは手縫いで熟練の技術を持った職人が行います。今回は内側の小さな飾り付けです。大きなリボンを巻く場合や小さなプレートを付ける場合も熟練の職人が飾りつけをします。
中心部分にしっかりと合わせ、糸がうかないように縫い付けていきます。スベリも革なので堅さはありますが、ずれないように針穴が目立たないように細心の注意を払って作業します。
――サンプルの完成:リボンの装飾が素敵なレザーキャスケットの完成
繰り返しにはなりますが、素材が分厚く仕上がりの形状を変えにくいシルエットと質感です。新品のレザージャケットを想像すると分かりやすいかと思います。
サンプル品のご提出後に、ステッチなしの部分を作りたい、ネームタグの位置を変えたい、といったご要望がいくつかありましたので、サンプルを再提出いたしました。最終的な仕上がりにご満足いただき、100個程度のご発注をいただきました。
今回のレザーキャスケットのOEM事例のように、縫製が難しい素材でも当社の持つ機械と職人の技術を駆使し、可能な限り対応させていただきます。オイルドクロスやオイルドコットン、ワックスコットンなどのような素材にも対応しております。 細かいご要望も満足いただけるまで承りますのでお申し付けください。まずは一度お気軽にお問い合わせください。
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